RYOTA FUKAI HP

INTERESTS

English

1. Formation and evolution of asteroids

 火星-木星間にある小惑星帯には、様々な表面組成の小惑星が数十万存在する。こうした小惑星は、現在の惑星をつくった材料(微惑星)の生き残りと考えられる。近年の地球型惑星の形成モデル(例:グランドタックモデル)では、小惑星の輸送過程が重要な制約であるが、物質科学的な研究は進んでいない。小惑星から飛来する隕石(コンドライト隕石)を用いると、実験室内で精密な同位体比測定をすることができ、現在の惑星をつくった材料物質小惑星の材料ダストが受けた加熱過程ガス円盤内での小惑星の形成領域などを明らかにすることができる。はやぶさ2帰還試料に対する手法の適用で、進化過程の飛躍的な理解が期待される。小惑星形成の100万年前に結晶化していた、コンドライトの構成要素であるコンドルールの同位体不均質性への着目も重要である。

Ryota Fukai and Tetsuya Yokoyama (2017) Earth and Planetary Science Letters
Ryota Fukai and Tetsuya Yokoyama (2019) The Astrophysical Journal
・Tetsuya Yokoyama, Yuichiro Nagai, Ryota Fukai et al. (2019) The Astrophysical Journal
Ryota Fukai (2020) Yuseijin
Ryota Fukai and Sota Arakawa (2021) The Astrophysical Journal


2. Origin of trans-iron elements in Solar System

 現在太陽系に存在する元素は、ビッグバン以降の様々な核合成によってつくられた。鉄(Fe)より重い元素の多くは恒星の終末期において合成される。コンドライト隕石には、こうした天体から飛来した微粒子(プレソーラー粒子)が微量ながら含まれている。特に、太陽系の白金・ウランなどの起源となる速い中性子捕獲反応が起きた恒星や、陽子に富む特殊な同位体を生成した光乖離反応が起きた恒星は明らかになっておらず、天文学・惑星科学における重要な課題である。我々は、微量物質に対する最新の分析技術(元素存在度測定・同位体比測定・X線分光分析)を開発し、プレソーラー粒子・初期太陽系粒子から太陽系の重元素合成環境の情報を引き出すことを目指す。

深井 稜汰 (2017) X線天体と元素合成を中心とする宇宙核物理研究会
Ryota Fukai and Tetsuya Yokoyama (2020) JPS Conference Proceedings


3. Global melting events in the early Earth

 地球が誕生した頃、惑星の大部分を溶融するような火成活動(マグマオーシャン)が起きたとされている。マグマオーシャンは、コア・マントルといった地球の大規模な層構造をつくる。これまでの地球化学データより、マントルの構造に大きな不均質の存在が示されているが、物理的なデータとの整合は依然とれていない。この不一致は、地球化学で古典的に用いられて来た長寿命の放射性核種が、複数の異なるイベントを反映しているため生じている可能性がある。放射性核種の中で特に短寿命のもの(146Smなど)は、惑星進化のごく初期の火成活動間にのみ放射壊変を起こしており、岩石中に同位体比として分化過程を反映している。40億年に渡る地球史の様々な岩石や、地球の原材料となったコンドライト隕石・地球に似た環境で形成したと考えられる分化隕石の同位体比から、初期地球におきた大規模溶融過程を解明することができる。

Ryota Fukai and Tetsuya Yokoyama (2017) Earth and Planetary Science Letters


4. Isotopic fractionation in trace elements

 地球物質・宇宙物質における同位体の分別は、化学反応・相転移などの現象や、化学平衡下の交換に伴って生じる。水–岩石の相互作用、蒸発–凝縮の過程など地球史上の重要なイベントを記録しているはずだが、現在の精度では各現象による分別則の違いを判別することは出来ない。現在我々は、一部の元素(アルカリ土類元素や希土類元素)が重要なトレーサーになることを発見し、高精度同位体分析によって岩石中に記録された同位体分別の過程を精密に区別する方法を開発している。将来的には、鉱物種毎の分別過程の精査や、熱水実験等と融合することで、微量元素の地球化学的性質の更なる理解・活用法の確立を目指す。

Ryota Fukai et al. (2020) Goldschmidt 2020


5. Improvement of techniques in analytical chemistry

 重元素の同位体比測定において、高精度な質量分析技術は必要不可欠である。TIMS(Thermal Ionization Mass Spectrometer:表面電離型質量分析計)を用いた同位体比測定では、いくつかの元素(Nd, Wなど)で数ppmレベルの同位体比の違いを見分けることができる。しかし、質量分析の精度は常に一定に保たれる訳ではなく、イオン検出器(ファラデーカップ)やイオンレンズの表面状態に大きく依存することがわかってきた。これらを解決する新たな分析法の開発によって、同位体比の分析精度を大幅に向上することが可能となった。

Ryota Fukai et al. (2017) International Journal of Mass Spectrometry
Ryota Fukai and Tetsuya Yokoyama (2019) Geochemical Journal
・Tetsuya Yokoyama, Ryota Fukai et al. (2020) Geostandards and Geoanalytical Research


inserted by FC2 system